緒方泰州と断易と推命学
私は実は、推命家であるとともに、断易金澤流の黄金策を実践鑑定として、使いこなす事の出来る、恐らく最後の継承者ではないかと思います。
私は、推命学を学ぶ前に断易の理論活用法・応用法を完全にマスターしていたことが、後々難解で未完成な推命学より脱出し、発展的な新たな推命学の実践技術の開発を独自に創作するには、非常に強い味方と成りました。
断易は、今から2500年前の春秋戦国時代に鬼谷子によって、周易の不足を補う為に造られた、干支術である事は周知の物だと思います。
また、推命学も典型的な干支術であり、どちらも干支術を代表する占術です。
推命学はいまから1100年位前の、北宋時代より徐々に研究され形成され、明初の劉誠意によって完成された様なのですが、完成と同時に滴天髄という四柱推命の目次的な書物と、断易の完成形の黄金策を残して、世の中より消滅した物です。
断易は、日辰・月建と得卦に納甲した物を用い、得卦には世爻と応爻が存在し、それぞれが四柱推命の機関に対応し、大運は断易の日辰に、歳運は断易の月建に値り、生日・日干は世爻に月干の、社会運は応爻に対応しており、実は、断易を横に展開した構造が四柱推命の構造と解釈でき、その様な使い方をすれば、非常に理解し易く成っております。
何しろ、劉誠意が完全な形で継承してきた断易と、自らの手で完成した四柱推命学には、非常に近接した理論と共通性と凡用性が有り、同一の原理や考え方が貫かれています。
中国にても推命学の解明の為に、断易の理論を用いる試みが成されて居る様ですが、残念ながら、中国では断易の使い方が消滅して居る様で、中国で易と言えば五行易を指すのです。
その故、自然に五行易の理論を四柱推命に応用しようと試みた様で、冲去や合去や干合去等の五行易理論を推命学に取り入れ、ただでも内容の釈然としない四柱推命の理論を展開するも、更に混迷の度を深めているようです。
日本には、江戸時代位から断易が輸入され、それなりにかなり、研究が進んで居たようで、五行易とは全く内容の違う、断易を完全に使いこなせる流派が、関東に九鬼流・諸口流が有り、関西には金澤流が存在しておりました。
私は、推命学を勉強する前に、金澤流の達人であった、辻二元先生より劉誠意の黄金策の理論と応用法と実践法を完全にマスターさせて頂きましたので、四柱推命学の欠如して居る処や、間違って居る処や、不備な処等を新たに補修し、力量論や演式論や命式の型式論や、従来の調候用神法とは全く視点を違えた、泰州独自の用神取用法などを発明し、今迄の推命学を再構築しました。
この様に、不完全な四柱推命学を補足充実するためには、断易の理論が非常に有効な手掛かり足掛かりに成りました。
もしも、推命学の習得が出来て居るならば、断易の習得を目指される事をお勧めいたします。
それから、四柱推命学の原書に付いてですが、劉誠意以後清朝から民国まで、なんとか劉誠意の理論まで、推命学を再構築しょうと努力した人々の痕跡が原書と言われる物ですが、それぞれの原書には相互に繋がりは無く、単独に個人的な独善的な要素も含まれた、未熟な点の有る見解と見做さねばなりません。
私も、幸いに東洋史学の出身でしたから、原書を読むことに苦痛は無く、殆どの原書を読みましたが、もしも、一流の四柱推命学を目指すならば、原書の解読位は出来なければ問題にも成りませんが、これらの原書は決して善意のみで書かれた物では無く、判った振りをする嘘や毒の含まれている、物である事をも意識して置かねばなりません。
推命を深く研究をしていると称せられる先生方は、せめて窮通宝鑑や滴天髄の独自の翻訳位は、挑戦して見られては如何でしょうか。
原書の読み下しは、一文で5種類位の読み下しと、解釈が可能な物です。
他人の訳文を読んだ位では、問題にもなりません。
自分で、原書を解読すれば、視点も変わり考え方も刺激を受け、新たな発見にも繋がります。
一流をめざし、独自性を発揮する気持ちが有るのならば、原書の一つも読めない様では如何な物でしょうか。